子どもが勉強できない、スポーツができない、頭が悪い、何を考えているか分からない・・・
そういったお悩みを抱えていらっしゃる親御さんというのは大変に昔も今も変わらずに多くいるようでございます・・・
ただそういった親御さんが本当に子供のことを見れているのかと言われますと、そうでもないかもしれない・・・
子どもを叱ってはみるものの、なぜか自分で納得していない・・・
何か感じるんでしょうか・・・
子どもは親に似るとはよく言ったようなもんでございますが・・・

はいはい!おお!はっつあんじゃないか!こっちへお入り!

大変だよ・・・

え?

大変なことになっちゃったよ・・・呼び出しくらっちゃった・・・

え?

呼び出しくらっちゃったんだよ!

へぇ~どっから?警察?

いや

裁判所?

い~や

税務署?

税務署は行かないでしょ~!税金なんて払ってねえもん!

払えよそれは!何をやってんだよ・・・

どっから呼び出しくらったんだよ?

学校だよ

学校!?なんだい学校って、誰の?

うちの倅の金の奴の学校

金ちゃんの学校から?お前さんが!?

ほぉ~・・・なんで?

あっしの仕事は大工でしょ?

だからまあ、大工にできることと言えば学校のどこかが壊れて、昔だったら景気のいいときは業者に頼んだけれども、

学校も予算がなくなって銭がねえから、じゃあ父兄に頼めばいやいやでも断りはしないだろうと思って頼まれたと思ったらそうじゃないんですよ・・・

倅の金太も一緒の来てくれって・・・

おかしいな、なんかあるなと思って問い詰めたら、あの野郎こんな物出しやがったんです・・・

ほぉ!答案用紙!?懐かしなぁ!

・・・5点!?

10点満点かい!?

まさか・・・百点満点ですよ・・・

馬鹿野郎毎日毎日高い授業料、給食費払ってやってんのに学校行って何してんだよって話ですよ!

あっしの子供ですからそう賢くはないと思いますがね、そこまで馬鹿だとは思わなかったんですよ!!

まあまあそう大きな声を出しなさんな・・・

でもこの答案用紙はいい方だと思うぞ?

これはバツは多いけれども書いてるだけまだいいじゃないか、書いてるだけまだ偉いだろう?

なにその顔、お前さんだってあたしだって覚えがないわけじゃない、白紙の答案なんかいか出したことがあっただろう?

それに比べて全部答えを埋めているというのが凄い、例え不正解だとしてもだよ!

読んでみなきゃ分からないだろう?どれ・・・

え~と太郎君と次郎君が草刈りをしますと・・・うん・・・

太郎君が二分の一、次郎君が三分の一刈りますよと・・・どれだけ残るでしょうか?・・・

ほぉなるほどなるほど・・・それで金ちゃんの答えが?

『やってみなきゃ分からない』・・・

・・・いいなこれ・・・

何言ってんですか、本当にあのバカ!ふざけてふざけて授業受けてるからこんな答えしかできないんですよ!

本当に情けないったら・・・

八十一個のみかんを三人に等しく分けなさい・・・

ほぉほぉなるほど・・・それで金ちゃんの答えが?

『ジューサーでジュースにして分ける』・・・

・・・ほぉ・・・中々だな・・・

なんです中々ってのは?まったく・・・

どっから出してくるんだよジューサーなんてよ!何考えてるか分かんないんですよあのガキは!

ちょいと待ちなよ・・・

えぇ、うし・うま・ひつじ・イノシシ・ライオン仲間外れはどれでしょう?

ほぉほぉほぉ・・・で、金ちゃんの答えが・・・

『仲間外れはいけません』・・・

最高だな!

いいですよ!何と言われようとも馬鹿は馬鹿ですからね!

いいですよ!何と言われようとも馬鹿は馬鹿ですからね!あっしはそんなことを聞きに来たんじゃないんですよ!

あっしが聞きたいのはなんでいちいち謝りに行かなくちゃいけないかってことですよ!

な、なにが?

いやいやその答案用紙はうちのガキのですよ?うちの金太の答案用紙ですよ?

書いたのは金太でしょ?金太が5点とったのをなんでいちいち謝らなきゃいけないのかってことを聞きにきたんですよ・・・?

いや別に謝りに行くわけじゃないでしょ?

じゃあ何しに行くの?

何しに行くのってさぁ・・・えぇ!?まあこの答案用紙を見る限りじゃさぁ・・・

・・・会いたいんじゃないの?

誰に!?

誰にってお前さんにだよ!

誰が!?

先生がだよ!

だからその答案用紙はあっしじゃないんですよ!うちの倅が!

だからそうじゃなくてさ!はっつあん!

こういうユニークな答えを書く子供のさ、お父さんは!・・・!

・・・どういう人かな~って・・・ね?

いやこういう人ですよ・・・

いやこういう人っていったってどこがどうして・・・

ああもう~!!分かった分かった!じゃあもう簡単に話すよ!・・

つまり言うだろ?親の顔が見たいってさ

え?

親の顔がみたいって言うだろ?

親の顔が見たい!?そんなこと言うの?知らない知らない・・・

その親の顔が見たいって言うのは、『ハワイに行ってみたい』と似てるの?い・・・

全然似ていないよ!

まあいいよ、どうであろうとさ!お前さんの一人息子だろ?可愛いんだろ?

倅のためだと思って、寒くてめんどくさいかもしれないけれども学校行ってきなよ!

分かりましたよ・・・とりあえず行くだけ行ってきますよ!

どうも!お父様!どうもどうも!おお!

金太君も寒いから閉めてね!お父さんの隣に座ってください!

どうもお忙しいところお越しいただきましてありがとうございます!担任でございます!

今日わざわざお忙しいところ来ていただいたのにはわけがございます・・・

分かってます・・・分かってます分かってます!

いや分かってますって言ったってつい今しがた分かったんですけれどもね・・・

そういうしきたりがあるってことを知らなかったもんですから・・・

まあでも決まりは決まりでございますからね・・・

まあまあ・・・ねぇ?あれでしょ?よく似てますでしょ?

鼻のところなんてそっくりでね、それから顎のとんがり具合なんかうちのかかあに似てるんでございますよ

笑うとお父さんそっくりだなんてよく言われるんですよ?

ほら!先生の方見て笑え!はははっは!へっへへへ!似てるでしょ?

ねえ!あっははは!

じゃああっしはこれで・・・

あ!ちょ、ちょっと!ちょっとお待ちになってください・・・

答案用紙はおうちでご覧になっていただけましたか?

えぇ、見ましたけれども?

あぁ、それでしたら話が早い・・・

もしご覧になりまして、何かこう・・・お感じになったことはございませんでしょうか?

え?これ見てですか?

ええ!もうね?色々ありますけれども先生なんでしょこれは・・・

それでうちの倅は全部書いてるんですが、全部バツなんですね・・・

全部バツなのに!!

5点ついてるんです・・・これはどういうことかなと思いまして・・・

あぁ・・・それはですね・・・

あのなんでございます、採点をしておりまして、いくらなんでも0点というのは忍びなかったもんでございますから・・・

名前が書けた分として、5点入れさせていただきました・・・

あぁそうですか・・・ありがとうございます・・・

馬鹿野郎!なんでお前は先生に気を遣わせるんだ!

見ろ!名前が書けた分で5点って情けない本当に・・・・

お前に言いたいよおとっつあんは!

なんでもっと大きく名前を書かなかったんだ!

そうすりゃあもう2,3点はもらえましたよね?先生?

まあこの問題なんか一番分かりやすいと思うのですが・・・

太郎君と次郎君が草刈りをして、太郎君が二分の一、次郎君が三分の一刈ります、草はどれだけ残るでしょうか?という問題にですね

その~おたくの金太君が、その~・・・

『やってみなけりゃ分からない』と・・・

こういう風に書いているという点ですね・・・

本当に申し訳ございません・・・

馬鹿!何がお前『やって見なけりゃ分からない』だ!

先生の授業ちゃんと聞いてねえからそういう答えしか書けねえんだ!

それも答えにもなんいもならねえじゃねえか!なんだお前『やって見なくちゃ分からねえ』って・・・

だ、だってさ太郎君と次郎君が仲いいんだか悪いんだか分かんねえんだもんよ・・・

なんだその仲がいいとか悪いってのは?

だって仲が良かったらさ、すぐに遊びに行きたいから二人で力を合わせてぴゃ~!っと全部やっちゃうでしょ?

でも仲悪かったらなるべく相手にやらせたいから黙ってじ~っとじ~っとお互い見てるだけで全然進まないじゃない?

だから仲がいいんだか悪いんだか分かんないから、とりあえずやってみなきゃ分からないと思ってさ!

・・・

・・・あ、あの先生・・・先生?

これ合ってるんじゃねえんですか?いや正解じゃありませんよ?

馬鹿正解じゃねえぞ馬鹿野郎!うぬぼれんじゃねえバカ!

正解なんざこれもう問題見たら書いてるようなもんじゃねえか!

どこって馬鹿お前!草はどれだけ残るでしょうか?って書いてあるだろ?じゃねえか!

正解は『残さずやれ』ってのが正解だろ!?

ねえ先生!?

い、いえあのお父さん・・・

いや分かってます!正解じゃないです!正解じゃないですけれども先生!

これどうでしょう?10点満点ってわけにはいきませんが、6点ぐらいは貰えませんかね?

いや、そういうわけには・・・

いやそういうわけにはって、じゃあ太郎君と次郎君は一回ちゃんと草刈りやって見たんですかこれ?

い、いや・・・それは取り立ててやってはおりませんが・・・

やってねえこと問題にされてもなぁ!それでこの太郎君と次郎君ってどこのやつなんです?

い、いえ知りません・・・

知らない奴を問題に出すなよなぁ~!

まあ先生はつけづらいでしょうから、ちょっとペンを貸してください?

これとりあえず6点入れておきましょ・・・

へっへへへ!!増えたぞぉ~おい!

おいこれは情けねえな、81個のみかんを三人で等しく分けないさい、『ジューサーでジュースにして分ける』・・・

お前は馬鹿か!本当に!問題のどっから引っ張ってきたらジューサーが出てくるんだよ!

どこにもねえじゃねえかよ!どっからもってくるんだジューサーなんて!

だ、だってさ、みかんだって大きいのも小さいのもあるじゃない・・・

当たり前じゃねえか・・・

一番嫌なのは甘いのと酸っぱいのがあるでしょ?

あたいは甘いのは好きだけど、だからと言って自分のとこに甘いのが来て、友達のところに酸っぱいのが行けばいいってもんでもないしさ

だから同じにするにはさ、ジューサーの中に入れてさ、ジュースにしてさ、それで分けたら同じになると思ってさ・・・

・・・

・・・あ、あの先生、先生・・・

これ・・・惜しいですよね?いやいや正解じゃありませんよ?

馬鹿!正解じゃねえぞ!うぬぼれんな馬鹿!正解なわけねえだろ!

正解なんか分かりそうなもんだろお前!

『81個のみかんはいっぺんにジューサーに入らない』これが正解だろ!

ねえ先生?

・・・い、いや・・・

だから!だから先生ほら一応4点入れておきましょうよ!

はっははは!どんどん増えてく増えてく!

あっ!これはお前情けないぞ?うし・うま・ひつじ・イノシシ・ライオン仲間外れはどうでしょう?

な~にがお前『仲間外れはいけません』だ!バ~カ!お前は!見れば分かりそうなもんだ!

うし・うま・ひつじ・イノシシ・ライオン!

うし・うま・ひつじ・イノシシ・ライオン・・・

え~っと・・・

そうですお父さん・・・干支です

・・・

え~っと・・・

先生!これライオンですね!

そうです!お父さん!ライオンです!

ライオン!

ほら馬鹿見ろお前ライオンだよ!ライオンだぞ?ライオンだけども!

これはただのライオンじゃないぞ馬鹿お前・・・

先生これ引っ掛けでしょ?これ

引っ掛け?

だってそうでしょ~

ライオンがライオンが仲間外れだということを先に知ってしまったらライオンが後の4頭を怒って全部食っちゃうでしょ?

だから正解は『ライオンに知られないように、そっと・・・ライオン』ってのが正解でしょ?

・・・お、お父様・・・本日は大変お忙しいところをわざわざありがとうございます・・・

いえ、と申しますのはあたくし心配しておりましたのは、お父様がかなりお家でその答案用紙を見て怒っていらっしゃるんじゃないか?

金太君を叱っていらっしゃるんじゃないかと思いまして・・・

いえいえお父様叱ることはございませんよ、確かに正解ではありませんが正解だけが全てではありません!

人間ものを考える幅というものが大事なんですよ・・・

幅を大事に育ててやってくださいよと申し上げようと思いまして、お越しいただいたんでございますが・・・

お父様の方がもっと幅がございました・・・

安心を致しました・・・どうぞお帰りになってください・・・

帰っていいんですか?あぁそうですか、だったらこの最後の問題もこれ10点やってくださいよぉ!

ど、どの問題ですか?

この最後の本能寺を焼いたのは誰か?という・・・うちの倅の答えが

『僕じゃありません』という・・・これ10点やってくださいよぉ!

もう何点でもどうぞ!その代わりお父さんあなたにお願いがあります!

なんです?

一度お宅にお邪魔してもよろしいですか!?

うちに来るんですか?まあ構いませんけれども何しに来るんです?

私一度・・・あなたの親の顔が見たい・・・
コメント