落語【紙入れ】のあらすじを優しく解説!

落語 あらすじ

一言で「紙入れ」を解説すると…

ハナシカ
ハナシカ

旦那の留守中におかみさんの家に行ってしまったら、紙入れ(財布)を忘れて旦那にバレないか冷や汗をかく噺。

主な登場人物

新吉
新吉

旦那の留守中におかみさんの家に行ってしまった男、新吉です・・・

ご新造
ご新造

旦那が留守中に新吉に手紙を書き、家に誘った女です・・・

旦那
旦那

ご新造の旦那です、出張の予定でしたが帰ってきちゃいました☆

紙入れの詳細なあらすじ

貸本屋の新吉は、出入りしている商家のおかみさんに好意を持たれ、旦那が留守で今夜はお帰りがないので家に来てほしいという手紙をもらう。

旦那に世話になっている手前、新吉は気が進まないものの、「来ないとこちらにも覚悟がある」と手紙に書いているので仕方なくその家を訪れる。

おかみさんに酒を勧められ、泊まっていけと誘惑されるが、そこに突然旦那が帰ってくる。

慌てた新吉は、おかみさんの助けで裏口から逃げ出すが、自分の紙入れを忘れてきたことに気づく。その紙入れには、おかみさんからの手紙が入っており、旦那に見つかれば大事なお得意様をしくじることになる。

新吉は夜逃げも考えるが、まずは様子を見ようと翌朝再びその家を訪れる。しかし、旦那の様子は普段と変わらず、元気のない新吉を心配している。

新吉は、ある家のおかみさんに惚れられて、旦那のいない夜に家を訪れ、紙入れを忘れて逃げてきたことを話す。旦那は自分の家のことだとは思わず、新吉を心配し、あれこれとアドバイスをする。

途中で出てきたおかみさんも「浮気するような賢い女なら、紙入れが落ちていたら旦那が気づく前に片付けるはずだ」と言って新吉を安心させる。

旦那も笑いながら「たとえ紙入れに気づいたとしても、女房を取られるような鈍感な奴だ、そこまでは気がつかねえだろう」と言う。

↓台本を読んでみる

江戸時代の不倫事情

落語【紙入れ】では、新吉とご新造による不倫の様子が生々しくも面白おかしく描写されています。江戸時代の『恋愛/不倫』事情についてまとめてみました。

江戸時代に不倫をしたらどうなるのか?

江戸時代の日本では、不倫は非常に重い罪とされていました。江戸幕府の法律「御定書百箇条」には、不倫を犯した者に対する厳しい処罰が明記されています。

  • 女性の場合:「密通いたし候妻、死罪」とされ、既婚女性が不倫をした場合は死刑が科されました。
  • 男性の場合:不倫相手の男性も同様に死刑となることがありました。

さらに「夫が不倫した妻とその相手を殺しても罪に問われない」とされていました。これは「私刑(リンチ)」を許すもので、夫がその場で不倫の現場を目撃した場合、殺害しても法的な罰則は適用されないとされていました。

新吉
新吉

あたしが夜逃げを考えるわけも、これで分かるでしょ?

現代でもそうですが不倫が発覚すると、当事者は社会的にも大きな影響を受けました。名誉や信用が失われるだけでなく、家族や親族にも多大な迷惑をかけることとなりました。

特に武士階級では、家の名誉が重んじられたため、家全体の大きな問題となりました。

参考記事:江戸時代、不倫は文字通り「命がけ」の沙汰だった 河合 敦

ただし、不倫はお金(示談金)で解決できた

場合によっては死刑という非常に重い罰が課せられていた一方で、法的な処罰はお金で解決できるケースがありました。

示談金は当事者同士の合意に基づいて支払われ、不倫問題を法的な争いに持ち込まずに解決する手段として利用されました。示談金は、1回あたり49万5000円とされています。

江戸時代の物価表の例

  • 草鞋:1足248円
  • 握り鮨:1貫132円
  • 酒(中級酒):1升2063円
  • 吉原への身売り代:娘の場合330万円、妻の場合528万円
  • 不倫の示談金:1回あたり49万5000円

参考記事:江戸時代の“不倫の示談金”は幾らだった?「江戸時代の物価表」がネット上で話題

恋愛の主導権と人気の男性

江戸時代の恋愛事情はどうでしょうか。江戸時代の男女比は、おおよそ男2:女1だったそうで、女の方が貴重な存在でした。

そのため、女性の方が引く手あまたで、選び放題だったようです。

ハナシカ
ハナシカ

女性の方がモテるのは、今も昔も変わらないね…

  • 都市部:江戸のような大都市では男性が圧倒的に多く、男女比は2:1の時期もありました。多くの男性が出稼ぎに来ていたため、女性は非常に貴重な存在でした。
  • 農村部:農村部では男女比が比較的均衡していましたが、都市部への男性の出稼ぎによって一時的に女性の比率が高くなることもありました。

女性にモテる男性の特徴

江戸時代の女性に人気があった男性にはいくつかの特徴がありました。

  • 経済的な安定:商人や富裕な農民など、経済的に安定している男性は女性に好まれました。
  • 社会的地位:特に武士階級の男性はその社会的地位と名誉から女性に人気がありました。
  • 容姿と振る舞い:女性は筋肉質な男性にはさほど興味を示さず、色白でなよなよとした優男が好まれました。ひげを抜いてツルツルの肌を維持し、歯を磨くことにも気を使っていました。
  • 芸事や趣味:歌舞伎役者や芸者など、芸事に長けた男性も女性からの人気が高かったです。

参考記事:恋愛の主導権を握った江戸の女性たち〜自由奔放に繰り広げられる恋愛事情はいかに〜

江戸っ子
江戸っ子

大工で鍛えた筋肉!男らしい江戸っ子よ!

女性
女性

ふんっ・・・

若旦那
若旦那

外で働くのは嫌だねぇ、焼けるし大変だぁ・・・

女性
女性

きゃぁぁぁぁ♡

『希少性』って言うんでしょうね…現代でも、筋肉質で男らしい人が好きという場合もありますが、色白で女の子のような男の子(ジャ○ーズみたいな)がモテますね。

昔から変わりませんね、日本は。

紙入れを聞くなら

紙入れを聞くなら「古今亭志ん朝」

上品な江戸弁と小気味の良い語り口が特徴の古今亭志ん朝。まさに江戸の「粋」な人物が表現され、落語初心者にとっても理解しやすい。その上品さから、若旦那な花魁などの色っぽい落語も得意とし、紙入れは、そんな古今亭志ん朝の良さが詰まった一席。

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