落語にはよく長屋というものが出てきますが、よくこの長屋というものに若い者がとぐろを巻いているということがございますが・・・
まんじゅう怖いを聞くなら「古今亭志ん生」
志ん生の特徴の一つは、その飄々とした話し方で、聞き手を自然に引き込む力である。「まんじゅう怖い」でも、志ん生の落語はあまり力まず、まるで日常の一コマを語っているかのような、リラックスした雰囲気が漂う。これが、若者たちの間で繰り広げられる何気ない会話や、まんじゅうを怖がると見せかけた男のずる賢さを、よりリアルに感じさせる。
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おう!なんだい、退屈そうな奴ばかりが集まってやがって・・・
同じような顔が今日も揃って・・・
ん?今日は一人いない奴がいるねえ・・・
ああヤス公のやつがいねえや・・・
おいおいなんだい?ヤス公の奴が向こうから駆け出してくるんじゃねえか?
どうしたんだろうな?
おう!ヤス公!!
どうしたい!?ヤス公!!ヤス?
ひゃあ~驚いたぁ!驚いた!!
何も後ろから付いて来ない?
別に何も付いて来ない、なんかあったか?
なんかあったかじゃない!
ここへ来るのに近道をしようと思ってさぁ、あそこの路地のとこ入ったらさぁ・・
そこにヘビがいるんだよ!!ヘビ!!
ヘビが怖いから俺駆け出してきちゃったんだ!!
ヘビぃ?あんなとこにヘビがいるわけねえだろうよぉ!
それお前、荒縄か何かが落っこちてたんだろ?
いやそうじゃねんだよ!ヘビだったんだ!
俺ぁこの目で確かに見たんだよ!
お前ヘビが怖いのか?
ヘビが怖いんだよぉ・・・ダメなの!
ヘビが怖いから長いものみんな怖いの俺は!
ヘビを連想させるだろ?
だから俺はどじょうもうなぎも食えねえんだよぉ・・・
うどんだってそばだって食わないんだからさあ!
ふんどし締めないくらいだよ俺は!
ふんだし締めないの?
それじゃあ歩きづらいだろうよぉ・・・
まあ言われてみればそうだな、人間みんな虫が好かないなんてことを言うもんなぁ!
どうだろう?ここはひとつ童心に帰ってさ?
あんなものが嫌いだこんなものが怖いなんて、怖いものを言っていくというのはどうだ?
なあ、そういうお前さんは怖いものあるのか?
ある!
ある?
あるんだ!
俺はねぇ、蜘蛛が怖いの!
蜘蛛?いい年しておいおいおい・・・
蜘蛛が怖いたぁ・・・
怖いんだよぉ!あれはさぁ!糸を出すんだよ?
気持ち悪くってぇ・・・
だから俺はミシンのそば通らないんだよ・・・
本当かねおい・・・
あら?向こうでもってたばこ吸ってるのがいるねぇ・・・
テツ公だね?
おう!テツ!?おめえは怖いものなんかないん
ないよ!!
なに?
ないってんだ!
怖いもの・・
ないってんだよ!!怖いものなんざ!
人間は万物の霊長ってんだよ!怖いもんなんざないよ!!
まあしいて言うならな?昨夜の晩はちょいと怖かったなぁ・・・
やっぱりあるんじゃねえか・・・
昨夜の晩は何が怖かったの?
かかあの炊いた飯が怖かったんだよぉ!
あれがまだ胃にもたれて・・・
そういう話をしてるんじゃないんだよ!馬鹿!
早ぇ話がヘビなんぞは怖くねえかと聞いているんだ!
ヘビなんざ見るってと俺ぁぞくぞくすらぁ!
・・・じゃあ怖いんだろ?
怖いんじゃねえ、食いてぇんだよ!
お前ヘビ食っちゃうんだよ!場違いなウナギ食うよりよっぽどうめえんだからな?
す~っと裂いて照り焼きにしてみろ?
うめえぞぉ?ヘビは!
あれ重宝なことにね?
風邪ひいて頭が痛いなぁ・・という時には頭にヘビぐる~っと巻くんだよぉ!
ヒンヤリして気持ちがいいんだよぉ!
こっちで締めなくても向こうでキュッと締めてくれるからねぇ!
本当かねぇ・・本当になんもねえの?
ねえ!人間は万物の霊長!
そらぁそうかもしれねえけどさぁ・・・
なんか好きなもん考えて、その後怖いもの思い出すだろ?
なに?好きなもの?・・・の後?
・・・はぁぁぁ~~いやぁもう・・・
あっ・・た・・あった・・
やっぱりあるんじゃねえかよ!言ってみろ?
え?ダメダメ・・ダメなんだよ!
思い出しただけでもガタガタ震えてくるんだからさぁ!倒れちゃう!
いいんだよ!倒れたら布団しいてやるから!
言ってごらんよ!?
じゃ・・じゃあ一度しか言わないよ?
おう!みんな一度しか言わねえそうだ!よく聞きな!
饅頭・・・
へ?
饅頭!!
あの饅頭がお前怖いのか?
怖いんだよぉ・・・
まんじゅう怖いを聞くなら「古今亭志ん生」
志ん生の特徴の一つは、その飄々とした話し方で、聞き手を自然に引き込む力である。「まんじゅう怖い」でも、志ん生の落語はあまり力まず、まるで日常の一コマを語っているかのような、リラックスした雰囲気が漂う。これが、若者たちの間で繰り広げられる何気ない会話や、まんじゅうを怖がると見せかけた男のずる賢さを、よりリアルに感じさせる。
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俺はこの家で饅頭売ってるなぁと思うと、見ないようにぱぁ~っと駆け出すくらい怖いの!
じゃ、じゃあお前そば饅頭も・・・
わぁぁぁぁ!!そば饅頭ぅぅ・・・
言わないでぇ~具体的にぃ・・・怖い!
栗饅頭?
でぇやぁぁぁぁ・・・栗饅頭ぅぅぅ・・・あああ・・・
青い顔してるよおい・・・
おう、ちょいと布団しいてやんな!
テツ公ちょいと隣で休みな!心持良くなったらまたこっちへおいでよ?
おいちょっとみんなこっちへ集まりなよ・・・
テツの野郎人間が変わってると思ったら怖いものも変わってやがんのね!
饅頭が怖いってんだから!
どうだろうねみんな?
野郎の怖いって言う饅頭を山のようにどっさり買って来てよ?
寝てる野郎の枕元に山のように高く積むんだよ!
おい!テツ公ってと野郎目の当たりの饅頭見てキャーってんでひっくり返るじゃねえか!
それ見て俺達がギャーっと笑おうってんだ!どうだ?
よそうよぉ・・・そんなことはさぁ・・・
そらぁひっくり返るくらいならいいよ?
饅頭目の当たりにしてそのまま死んじゃったらどうするんだよぉ!
いいよ!死んだってあんな野郎はぁ!国のためになるわけでもねえんだから!
第一これは俺達が殺すわけじゃねえ、饅頭を見て死ぬんだから・・・
これを、あん殺ってんだろうなぁ!
うまいねえ、あん殺ってのは!やっちゃおうか!?
やっちゃおう!
ってんで悪い相談が持ちあがりまして、それから若い者が町内でもって饅頭を買ってきまして・・・
買ってきた?こっち来なこっち来な!
何買ってきたの?
そば饅頭を!
そば饅頭?いいね!後ろは?
栗饅頭!
いいね!後ろは?
葬式饅頭!
早いねえ!葬式饅頭とは・・・
まあまあいいだろ!
起こさないようにね?枕元にそっと置いて!
起こさないように障子ピタッと締めて!こっちおいで!
じゃあこれから俺がちょいとテツの野郎を起こすから!
おう!テツ!ちょいと起きねえかい!!いつまで寝てんだよ!
そろそろこっち来てまた話そうじゃねえか!おう!テツ!!起きろよ!
なんだいなんだい・・もう起こすのかい?
冗談じゃないやい・・・
俺ぁ怖い怖いと思うから饅頭が目の当たりにある気がして・・・
目の当たりにあるような気がするだとよ?面白れぇじゃねえか!
起きて目の当たりみてご覧よ!テツ!
起きて目の当たり見てご覧!!
なんだいなんだい・・起きて目の当たりに・・・
あ・・あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
饅頭ぅぅだぁ!こんなにどっさり饅頭買って・・・
怖いぃぃ・・俺を殺そうと・・ぁぁぁぁ・・
ぁぁぁぁ・・・栗饅頭・・・
ぁぁぁ!!ぁ~~む・・もぐもぐ・・・
つぶあん・・・
ぁぁぁぁぁぁ!!・・ぁ~~む・・・もぐもぐ・・・
・・ぁ~~む・・・もぐもぐ・・・ぁ~む・・もぐもぐ・・
ぁぁぁ~~ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
うなってるうなってる!!ちょいと覗いて見なよ?
このままじゃ俺があん殺の張本人になっちゃうからね?
じゃあ覗いてみるよ?覗いて・・・
おい!大変だ!
怖い怖いって野郎!饅頭バクバク食ってる!
やい!!
ぁぁぁ~~ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
ぅぅぅぅぅぅぅ・・・
饅頭しまうな!!この野郎!!
てめえ怖い怖いって饅頭食ったり、しまったり!!
おめえ一体何が怖えんだよ!!
今度はお茶が怖い・・・
まんじゅう怖いを聞くなら「古今亭志ん生」
志ん生の特徴の一つは、その飄々とした話し方で、聞き手を自然に引き込む力である。「まんじゅう怖い」でも、志ん生の落語はあまり力まず、まるで日常の一コマを語っているかのような、リラックスした雰囲気が漂う。これが、若者たちの間で繰り広げられる何気ない会話や、まんじゅうを怖がると見せかけた男のずる賢さを、よりリアルに感じさせる。
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