落語【長短】台本 吹き出し風

落語 台本

気の長い人と短い人というのは馬が合うというお話ですが・・・

長短を聞くなら「立川談志」

立川談志の「長短」は、性格の違う二人の男のやり取りが織り成す絶妙な掛け合いが魅力の一席です。談志の鋭い観察眼とユーモアが、登場人物たちの個性を際立たせます。笑いの中に人生の機微が垣間見える秀逸な作品です。

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短七
短七

誰だいそんなとこでガタガタしてんのは!

短七
短七

そっちから分かったって、こっちからは誰が来てんだか分からねえんだから!

短七
短七

顔出しな!誰・・・

短七
短七

お~う!なんだい長さんじゃねえか!

短七
短七

そうじゃねえかと思ったんだよ、さあこっちへ入んな!

短七
短七

そんなところへ突っ立ってねえでこっちへ入んなって言ってんだよ!

短七
短七

入んなってんだよ!

短七
短七

・・・俺の言ってるのが聞こえねえのかよ!?入れってんだよ!

長さん
長さん

・・・

長さん
長さん

そ~こ~に~・・・

長さん
長さん

いたか・・・

短七
短七

いたかじゃねえだろ、さっきから見えてんだろ?こっちへ入んなよ!

短七
短七

入ったらそこへ座んな!

長さん
長さん

・・・こんちわ~

短七
短七

今頃挨拶してるよ・・・

短七
短七

いいところへ来たな、ここへうめえ餅菓子があるんだよ?さっきもらったんだよ

短七
短七

これ食ったらうめえんだ!おめえにも食わしてやっから食っちゃいな、お茶入れてやるからよ!

短七
短七

食わなきゃしまっちまうんだよ?食っちゃいなよ!

短七
短七

食うのか食わねえのかよ!早いとこ決めろ早いとこ!

長さん
長さん

・・・いただくよぉ~・・・

長さん
長さん

そうお前のように~・・・

長さん
長さん

ものを食べるそばで~・・・

長さん
長さん

がみがみがみがみ・・・・

長さん
長さん

騒がれちゃってもしょうがないよ・・・

長さん
長さん

物を食べるときくらい~・・・ゆっくり食べさせなよ~・・・

長さん
長さん

身にも皮にもならねぇ~・・・

短七
短七

分かった分かった!じゃあ早くほおばれよ!どうだ?うめえだろ?

長さん
長さん

まだ~・・・

長さん
長さん

食べてないよぉ~・・・

長さん
長さん

せわしないねぇ~・・・

長さん
長さん

あ~・・・はは・・・くろあんだ・・・

長さん
長さん

・・・あ~~む・・・

長さん
長さん

・・・

長さん
長さん

・・・ん、いい味だ・・・

長さん
長さん

・・・う~ん・・・もぐもぐ・・・

長さん
長さん

・・・

長さん
長さん

こりゃあ・・・いい味だ・・・

短七
短七

おめえ一つの物いつまでぺちゃくちゃ食べてんだよ!こっちへ貸せこっちへ!

短七
短七

こういう物はな!こうやって・・・もぐもぐ・・・こうやって食っちまえばいいだろ?

長さん
長さん

・・・ふふっ・・・短七さんはぁ~・・・

長さん
長さん

気が短えから~・・・

長さん
長さん

あたしがやってることは~・・・

長さん
長さん

まどろっこしくてぇ・・・

長さん
長さん

見てられないだろうぅ~?

長さん
長さん

面白いねえ~・・・

長さん
長さん

短七さんはぁ~気が短い・・・

長さん
長さん

私はぁ~・・・どっちかってと気が長~い・・・

長さん
長さん

これでぇ~性分というのはぁ・・・おかしいもんだな~・・・

長さん
長さん

・・・(たばこの火をふかそうとする)

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当時のたばこと煙草盆
長さん
長さん

お前さんとは子供の時分からぁ・・・

長さん
長さん

喧嘩をしたことがないってんだから面白いよねぇ・・・

長さん
長さん

・・・これでぇ~・・・どっか気が合うんだねぇ~・・・

短七
短七

合やしないよぉ!こっちをご覧よこっちを!

短七
短七

そんなことしてたらな、一生火はつかねえぞ!?

短七
短七

いいか?こうやって口にくわえてな!こっちから火を迎えてやるんだよ!

短七
短七

す~・・・ふぅ~・・ほらこういう風にやるんだよ!

短七
短七

おめえの見てると嫌になってくるんだよぉ!

短七
短七

・・す~・・ふぅ~・・・ほらこんな具合に出来ねえか!?

長さん
長さん

・・・ふふふっ・・・そのぐらいのことはぁ~・・・

長さん
長さん

俺だってぇ・・・

長さん
長さん

・・・

長さん
長さん

す~・・・ふぅ~・・・

長さん
長さん

・・・す~・・・ふぅ~・・・

長さん
長さん

・・・(キセルに溜まった灰を灰皿に捨てようとする)

短七
短七

おいおいおい冗談じゃないよ!こういうのは一服吸ったら一発でポンっとはたくんだよ!

短七
短七

そこがたばこの一番うめえとこだぞ!?よく見てろ本当に・・・ンっとはたくんだよ!

短七
短七

す~・・・ふぅ~・・・よっ!

短七
短七

これぐらいにすっと捨てれるくらいじゃねえと!!

長さん
長さん

・・・ふっふっふ・・・分かったよぉ・・・

長さん
長さん

短七さんはぁ・・・気が短いからぁ・・・

長さん
長さん

なにか人に教わるのは嫌いだろうねぇ・・・

短七
短七

ああ!嫌いだよ!?大っ嫌いだぁ!

長さん
長さん

・・・あたしが~教えてもかぁ~?

短七
短七

いやおめえは別だよ、ガキの頃から友達なんだから!

短七
短七

な?なんかあったら言ってくれ?俺だっておめえのことは言うんだから・・・!

短七
短七

なんかあんのかい!?

長さん
長さん

・・・本当にぃ~・・・

長さん
長さん

言ってもぉ~・・・

長さん
長さん

怒らない~?・・・

短七
短七

あぁ!怒らないよ!言ってごらん!なんだよ!えぇ!なんだよ!

長さん
長さん

・・・ふっふっふ・・・

長さん
長さん

な~んだか怒りそうな顔を・・・

短七
短七

だから怒らねえって言ってんだろ!じれってえなぁ、後生だから教えてくれよ!

長さん
長さん

・・・そうかぁ・・・なら話をするけどぉ・・・・

長さん
長さん

今お前がたばこをすってぇ・・・

長さん
長さん

二服目の火種を~・・・

長さん
長さん

威勢よく~・・・

長さん
長さん

ぽ~んっと・・・

長さん
長さん

はたいた奴が~・・・

長さん
長さん

この~煙草盆の中へ入らねえでぇ・・・

長さん
長さん

左の袂の袖口へ~・・・

長さん
長さん

ぽ~んっと・・・

長さん
長さん

入っちゃったぁ~・・・

長さん
長さん

どうなるのかな~って見てたらねぇ・・・

長さん
長さん

煙が出てきてぇ・・・

長さん
長さん

まあいいかな~と思って・・・

長さん
長さん

今見たらだいぶ~・・・

長さん
長さん

燃えているようだがぁ~・・・

長さん
長さん

ことによったらぁ・・・

長さん
長さん

消した方がぁ~・・・

短七
短七

うわぁぁったったたたったたったた!!早く教えろ!早く!!

短七
短七

あぁ~あ、ずいぶん大きい焼け焦がしが出来ちゃったじゃねえか!

短七
短七

ことによらなくても教えた方がいいんだ!この馬鹿野郎!

長さん
長さん

そ~ら見ろぉ・・・

長さん
長さん

だから怒るって言ったじゃねえかぁ~・・・

長さん
長さん

だから教えねえ方がよかったぁ~・・・

長短を聞くなら「立川談志」

立川談志の「長短」は、性格の違う二人の男のやり取りが織り成す絶妙な掛け合いが魅力の一席です。談志の鋭い観察眼とユーモアが、登場人物たちの個性を際立たせます。笑いの中に人生の機微が垣間見える秀逸な作品です。

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