約束をして気が付いた4月バカ・・・
一年中で4月の1日はいくら嘘をついてもいいんだそうですな・・・
ありがたい日があるもんですが・・・
嘘は世上の宝と言いまして、なんにでも嘘があるもんです・・・
講釈師、見て来たような嘘をつき、商人は損と元値で倉を立て、元をきれば損をしますと言いながら大きな倉を立ててしまういい嘘でございます・・・
昔の花魁に手練手管(てれんてくだ)なんという嘘がございました・・・
お寺の方でも方便と言う嘘がございます・・・
地獄・極楽とあっていいことをすると極楽、悪いことをすると地獄へ行きますなんてなことをいいます・・・
地獄だの極楽からハガキをもらった方はありゃしませんが・・・
紺屋の明後日という嘘がございますしな・・・
それから乳母さんが子が可愛い、年寄りが早く死にたいって嘘があります・・・
普段は何もないんですけれども、ちょっと何かあると『あぁ~あ・・・早く死にたい・・・』なんてなことを言う・・・
往来歩いていて自動車が来ると慌てて避けたりなんかしますけれども・・・
妙な嘘があるもんでございます・・・
嘘らしき嘘はつけ、まことしやかな嘘はつくなということわざがございます・・・
まことしやかな嘘でないと人は信用してくれませんから、嘘の効き目がないわけでございます・・・
昔ずいぶん嘘をついた人がおりまして・・・
『今度は所詮助からんが、私が死んだらば床板を開けてもらいたい・・・少しばかりだがお金が入ってるからそれで弔いをしてくれ』と言ってお亡くなりになりました・・・
周りの人は感心しました・・・
この人はずいぶん今まで嘘をついて困らせたが死に金を貯めるとは感心だ・・・
床板をはがしてみるってと大きな甕(かめ)がありまして蓋がしてある・・・
開いてみるってとその中に紙切れが一枚・・・
『これが嘘のつき終い』と書いてありました・・・
死んでからも嘘をつかなくてもよさそうなもんでございますが・・・
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向こうの大将は大ほらふきだなぁ・・・あんな大ほらふきはないよ?
おい退屈じゃないか、茶入れた・・・大将呼んで少し嘘を聞こうよ!
嘘を承知で聞いてらっしゃる・・・またお楽しみなもんで・・・
どうした嘘つき~~!しばらくだなぁ!
頭から嘘つきと言われると嘘つけませんよ~!
二、三日見えなかったじゃないか、どこか行ってたのか?
えぇ日本にいなかった・・・
さっそく始まったよおい・・・
日本にいなくって二、三日でどこ行った?
南極にねぇ、探検に行ってました・・・
南極観測隊?
えぇ・・・
お前さんが?へぇ~なにで行ったんだ?
なんでったって汽車じゃ行かれませんよ・・・飛行機も行かれない・・・船ですよ
なんて船だ?
なんてったってあの船さ!ほら南極航路ってのは大体決まってらぁね!あの船ですよ、思い出してください!
お前が思い出すんだよ・・・そうやじゃないか?
そうそう、そうやそうや!
※そうや・・・海上保安庁の巡視船。
お前が思い出すんだよ・・・そうやじゃないか?
変な思い出し方だなぁ・・・南極は寒いそうだな!
寒いのなんのってねぇ!行って一番先に驚くのが言葉が凍っちゃうんです!
なんだ言葉が凍るってのは・・・
朝起きるでしょ?『おはようござい!』ってと向こうで『おはよう!』ガチガチっと!おはよう玉ってのが出来ちゃう・・・
これを内地へ持っていくとね、大店向きでね、小店員を起こすのに使う・・・
どうすんだい?
フライパンに火をかけてこのおはよう玉が解け始めるんです・・・
『おはようござい!』『おはよう!』ってんでびっくりして小僧さん目を覚ます・・・
変だなどうも・・・水鳥がたやすいそうだな・・・
えぇ!鴨なんぞ手で捕まえます!内地ですと鉄砲だ三角網だと大変でしょ?
あっちはね、鴨狩です!
なんだい鴨狩ってのは?
みんな海風がぴゅ~っと吹くとね凍り方が早いんですよ!
じりじりと凍るんじゃない、いっぺんにガチャガチャっと凍っちゃう・・・
ガチャガチャ?
だから鴨がね、水の中にエサを取りに降りていくでしょ?
いきなり足がガチャガチャっと凍っちゃって飛べなくなっちゃう・・・
南風が吹いたから鴨狩に行こうじゃねえか!ってんで鎌を一丁持ちましてね?
凍り付いた鴨の首っ玉を抑えてね?鴨の足を鎌で切って歩く・・・
いい鴨だけ切って悪いかもは捨ててしまう・・・
もったいねえじゃねえか・・・
後からまた拾っていくやつがあるんですよ・・・
半纏着て大きなかごを担いで竹の箸で・・・
ほぉ・・・なんだい?
鴨くず拾い!
鴨くず拾いってのはねえだろう…じゃあ水の中へ鴨の足だけ残るのか?
えぇ!春先になるとこれから芽が出るんです!
芽が?
えぇ!カモメって言うんです!
・・・おいよさねえかよ冗談じゃねえ・・・落とし噺じゃねえかそれじゃあ・・・
第一番に火事が凍っちゃったのには驚いたねぇ!
火事?火事は火だよ・・・
火が凍っちゃった・・・観測小屋の火事っての新聞で見ませんでした?
見た見た・・・
あれ!火事だぁ!ってんで飛んでって四方八方から水をかける・・・
真ん中だけ火で燃えて周りはみんな凍っちゃう・・・
綺麗ですよ~!火事のオーロラ!
オーロラ!?
えぇ!これどうするんですって聞いたら、溶けるまで待つんだって・・・
綺麗だからあっしにくださいな!ってんでもらいました・・・
火事の氷漬けもらってどうすんだ?
牛の背中に置きまして内地まで引っ張っていきます・・・
うん・・・
牛の背中で火事が溶け始めてね、これは牛の背中がまる焼け!
大きなビフテキ!
なんだビフテキってのは・・・
牛が焼けたんだもの・・・もう大変な騒ぎで!
水をかけたらいいだろ?
ダメです、焼け牛に水って言ってね・・・
なにが・・・
もう牛がこりごり(凍り凍り)だって・・・
いい加減にしろ!それからどうした!?
うしまい・・・
な~にを!お前さんほど嘘をつく奴はないな!
日本一の嘘つきでしょ?
そりゃいけない・・・
え?
自慢高慢馬鹿のうちってえだろ?お前さんは千三つと言ってね、千話すうちにまだ本当のことが三つある・・・
千住の先のうそつき村と言うところに行くってと鉄砲の弥八ってのがいる・・・
これは万ふいってんだ・・・
なんですそれは?
万話して本当のことが一つもない!どうだいそこへ行って嘘の問答してみなよ?
お前が勝てば嘘の選手権が取れるぞ?
嘘に選手権なんてあるんですか?面白そうですね!なんてんです?
千住のうそつき村と聞きなさい・・・分かったら鉄砲の弥八さんと言えばすぐ分かるから・・・
へい!行ってきやす!
うまくやって勝っておくれよ?うまくやれば酒でも御馳走するから・・・
さぁ!面白いなぁ・・・一番先に大きな嘘ついて驚かしてやろうかなぁ!
ちょいとすいません!
なんです?
うそつき村ってのはこの辺ですか?
あぁ、もう一里ばかり先に行きますってと藪(やぶ)がありますからね、お稲荷様がひょっと出てますからすぐ分かりますから!
ありがとうございます!
へへっ・・・名代の村だけあってすぐ分かるな、ありがてえや・・・
ちょっとすいません・・・うそつき村ってのはこの辺ですか?
ええ!この先一里ばかり行きますと、松の木がありましてね!
六地蔵って地蔵が六つ並んでるんですよ!一番左の地蔵は鼻が欠けてます!
鼻欠け地蔵で、そこんところから・・・
へぇ、どうもありがとうございます・・・
えぇ~っと鼻欠け地蔵と・・・
ちょいと伺いますが!
はい?
うそつき村はこの辺ですかしら?
あぁ、もう一里ばかり先に行きますとね、海へ出ますよ!漁師町で聞いてごらんなさい!
あぁどうもありがとうございます!
えぇ~っと漁師町・・・
待てよこりゃ・・・もう一里先もう一里先って・・・
ちょっと伺いますが!うそつき村は!
あぁ、もう一里ばかり先だよ・・・
なんだぁ!?もうやってやがんだ嘘を!村中で嘘ついてやがんだ・・・
これじゃ一日聞いても分からねえ・・・交番行って聞いてみようかな・・・
うそつき村の巡査だからな・・・巡査は嘘つくのかな・・・
子どもがいるな・・・子供は正直だからなぁ!子供に聞いてみようかなぁ!
坊や坊や!坊や!
なんだいおじさん・・・
うそつき村って知らないかい?
うそつき村はここだよ・・・
おっ!こりゃありがてえ!やっぱり子供に聞いてよかった!
うそつき村にね、鉄砲の弥八さんっての知らないかい?万ふいって言われてるんだ
鉄砲の弥八ってのはあたいのおとっつあんだ・・・
え!?お前の!?いやぁいいとこで聞いた!お前鉄砲の子か!
うん、ピストル・・・
親父はいるか?俺はな、東京から嘘の問答に来たんだよ・・・
親父が嘘がうまそうだったら俺の弟子にしようと思うんだが、親父はいねえか?
おとっつあんはいないよ・・・
どうしたんだい?
富士山が倒れそうになったんで、お線香もってつっかい棒に行っちゃった・・・
これから選挙が始まるってんでね?選挙演説に頼まれて口約しに行った!
えらいこと言いやがんなぁ・・・おっかさんは?
洗濯物が溜まったんで琵琶湖まで洗濯に行った・・・
へぇ・・・やりやがんねこいつはまた・・・お前は何してたんだ?
朝っから遊んでたんだけど、お腹がすいちゃった!
食べる物がないから薪が五束あったのを三束食べた・・・二束残ったからおじさん食べねえか?
・・・大変な嘘をつくやつだなぁ・・・親父が帰ってきたら嘘の問答しに来たってそう言っといてくれ!また後で来るからってなぁ!
いやぁ~い!逃げやがった!負けやがったぁ!
そっち行くってとヘビが出るぞぉ!狼が出るぞぉ!食われちまうぞぉ!
おい!またいたずらか!?
おとっつあんお帰りなさい!
お帰りなさいじゃねえ、なんだって騒いでるんだ!
今東京から嘘の問答に来た人がいるんだ・・・
ふむ・・・待たせてあるのか?
いないって帰しちゃった・・・
馬鹿・・・おめえは俺の息子だぞ?いるときはいない、いないときはいると嘘をつけ!
嘘をついたんだ!
おとっつあんはどうしたって言うから、富士山が倒れそうになったんで、お線香もってつっかい棒に行ったって言った・・・
大きな嘘をついたなぁ!
これから選挙が始まるってんでね?選挙演説に頼まれて口約しに行ったって言った!
うんうん!面白い面白い!それから?
おっかさんはって言うからね、洗濯物が溜まったんで琵琶湖まで洗濯に行ったって言った・・・
親父が山行ってお袋が湖ってのはいいや!それで?
お前は何してんのって聞いたからね、食べる物がないから薪が五束あったのを三束食べた、二束残ったからおじさん食べねえか?って言った・・・
そしたら、子供がこんなんだから親父はどんなのだか分からないってんで、慌てて逃げ出したんだ!
うむ!
そっち行くとヘビが出る、狼が出るって嘘ついてやったんだよ!そうすると滑って転びやがってね?
お金入れ落としていきやがったの!中見て見たら中にお札がいっぱい入ってんの!
うまくやりやがったなぁ!子供が御足(お金)なんぞ持っててもためにならねえ!こっちへ出せ!
それも嘘だよ!
親にまで嘘をつくのかい・・・
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うそつき村を聞いての感想
噺のオチとしては、子供の方が親より一枚上手だったということですね。
このうそつき村では『うそつきがつける人ほど強い・地位が高い』ようです。
何だか漫画にありそうですね。
今からする話は特に落語【うそつき村】とは関係ありませんが、調べていて面白そうだったので紹介します。これは論理的な思考を鍛えるお話です。なぞなぞみたいなものですね。
その名も『正直村とうそつき村』です。
ある正直者だけの村がありました。
そしてその隣には、そっくりの似たような村ではありましたが、嘘つきだけの村がありました。
ここの村人たちは
・正直村→何に対しても正直なことしか言わない
・うそつき村→何に対しても嘘(反対のこと)を言う
さあそんなところに旅人がやってまいりました。
その旅人は正直村に行きたいのですが、二手に道が分かれていてどっちが正直村への道なのかが分かりません。
その二つの道の中間に老人が立っていました。
この老人は正直村の村人なのか、うそつき村の村人なのか分かりません。
さて、ここで問題です。
この老人にたった一度だけ質問してどちらが正直村への道かを導き出してください。
もう一度だけ確認しておきますが、
正直村の村人→何に対しても正直なことしか言わない
うそつき村の村人→何に対しても嘘(反対のこと)を言う
さて少しだけ考えてみて下さい。
シンキングタイム!
老人に対してたった一度だけ質問し、正直村への道を導く答えは
『あなたが住んでいる村はこちらですか?(どちらの道を指さしてもOK)』
この質問であれば、
仮に正直村を指さしていた場合、老人が正直村の村人でも、うそつき村の村人でもYESと回答します。
仮にうそつき村を指さしていた場合、老人が正直村の村人でも、うそつき村の村人でもNOと回答します。
つまり、老人がYESと答えたら正直村の道はその道で合っており、NOと答えれば逆の道が正直村への道だということになります。
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