毎度馬鹿馬鹿しいお笑いを一席・・・
平林を聞くなら「立川談志」
寿限無同様、前座噺である「平林」。サゲが複数種類あり、落語家によってサゲのバリエーションが増えていく。単純な前座噺で終わらせないのが立川談志。
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おいおい定吉!ちょいと来ておくれ!
へい!お呼びですか?
ああお前すまないけどな・・・
この手紙をひとっ走りな、平林さんの所へ届けて来ておくれ
ああそうですか手紙、分かりました!
あの~行ってまりますけども旦那ね、今日はあたしお風呂の当番なんですよ!
それで店のお風呂は若いものが代わりばんこやることになってるんで
今日はあたしが係でお風呂に火つけたばかりでもうじき湧き上がると思いますから
じゃあお風呂が湧いたら行ってきます!
ほうそうか、お前が係か、いやあご苦労だったな
それじゃあお風呂は誰か他の者に見るようにそう言っておくからな?
お前は急いでるんだから先へ行ってきな
あ、そうですか!それじゃあ行ってまいりますけれども・・・
え~っと旦那この手紙どこへ届けるんですか?
だから平林さんとそういってるだろう・・・
あっ、ひらばやしさんひらばやしさん・・・
それじゃあ行ってきますけれども旦那お風呂の方頼みますよ?
あんまり湧き上がるってあとで水で埋めるってと、女将さんに怒られちゃうんですからよくそういって下さいよ?
ああ大丈夫だ、お前の粗相にならないようにあたしからよく言っておくから早く行ってきな
ええ分かりました!それじゃあ行ってまいりますけれども・・・
え~っと旦那・・・これどこに届けるんですか?
だからお前は何を言ってるんださっきから・・・
平林さんとそう言ってるでしょう!
お前さんはどうしてそう忘れっぽいんだ・・・
あ、そうだ!忘れたらなこの手紙の表に名前が書いてあるだろう?
それをお前さん読めば分かるだろう?
ですけど旦那、あたし字なんてものはまるで読めないんですよ!
なんだ字が読めないのか、しょうがないなあ・・・
忘れっぽくて字が読めないんじゃ役に立たないじゃないか・・・
そしたらお前さんこうしなさい、ここから先方へ着くまでな他のことを考えちゃいけないよ?
口の中でひらばやしさんひらばやしさん・・・と言いながら歩きなさい、そうすれば忘れないだろう?
あ、なるほど!やっぱり旦那は頭がいいですねえ!そりゃそうですよね!
ひらばやしさんひらばやしさんひらばやしさん・・・
って言いながら行けばいいんだ!
それじゃあひらばやしさん行ってきますけれども、あのひらばやしさんお風呂の方ひらばやしさんお願いしますよひらばやしさん!
いや家の中でやる必要はないんだ・・・気を付けて行ってきな!
それじゃあ行ってまいります!
平林を聞くなら「立川談志」
寿限無同様、前座噺である「平林」。サゲが複数種類あり、落語家によってサゲのバリエーションが増えていく。単純な前座噺で終わらせないのが立川談志。
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なるほどうちの旦那は頭がいいや・・・
ひらばやしさんひらばやしさん言いながら行けばいいんだから・・・
ひらばやしさんひらばやしさんひらばやしさんひらばやしさんひらばやしさん・・・
それにしても随分人が大勢通るねえ、これみんなひらばやしさんだよ
あそこ行くのもひらばやしさん、色んなひらばやしさんがいるなぁ・・・
あらっ!綺麗な平林さんがいるねえ・・・
いい女の平林さんだ!どこ行くんだろうあの平林さんは・・
え~っとあの平林さんは・・・
あ~!横断歩道わたって向こう側行っちゃったよ!後つけてってみよ!
ひらばやしさん、どこ行くんだろうねえ?あのひらばやしさんはぁ?
これこれこれ、これ!なんだお前は!
信号が赤で飛び出す奴があるか!
へ?あっすいません!お巡りさんのひらばやしさん!
なにがひらばやしだ・・・
今は交通センサーの世の中だ、信号はしっかり守りなさい!
いいか?信号は赤で止まって青で歩く!
赤止まりの青歩き、これをしっかり頭に入れておきなさい!
ああそうですか、どうもすいません・・・
やっぱりお巡りさんは親切だねぇ・・・
赤止まりの青歩きだってこれ覚えてりゃいいんだな!
赤止まりの青歩き赤止まりの青歩き赤止まりの青歩き赤止まりの青歩き・・・
赤止まりの・・・赤止まりの青歩き!?こんな名前じゃなかったよ?
ありゃお巡りさんのおかげで忘れちゃったよ・・・
しょうがねえな!じゃあねえ誰かに聞いてみよう!
あっ、この人に聞いてみよう!
ちょいとすいません!
はい、なんでございます?
ちょいとこれ、ひとつ呼んでもらいたいんですが
ほう・・これですか、これは上がたいら、下がはやし・・・たいらばやしですな
「たいらばやし」ですな
ああたいらばやしですか!どうもすいません
なんだたいらばやしか、聞いてしまえば訳ないやね!
え~っと・・たいらばやしさんたいらばやしさんたいらばやしさんたいらばやしさん・・・
たいらばやし?・・・なんかちょっと合ってるようで合ってないねえ・・・
もう一回聞いてみようかな・・・あ!ちょいとこの人にも聞いてみよう!
ちょいと!ごめん下さいまし!
おう、なんだ?
ちょいとこれ読んでもらいたいんですけど!
ん?これか?これはな、上がひら、下が森林のりんで
ひらりんだ
あ、ひらりんってんですか!どうもすいません!
なんだひらりんさんだってさ・・・
え~ひらりんさんひらりんさんひらりんさんひらりんさんひらりんさん・・・
ひらりん?・・・こんな可愛い名前じゃなかったよ?
三度目の正直だ、もう一回聞いてみようかな・・・
あ、おじいさんが来た!お年寄りならちゃんと知ってそうだねえ・・・
聞いてみよ!
ちょいとごめんなさい!
なんですか?わしですか?
ちょいとこれ読んでもらいたいんですが、今向こうで聞いたらたいらばやしとひらりんってんですがこれ合ってますか?
ん?どれだ?なるほどなるほど・・・
それでたいらばやしとひらりん?
そうかそうか、いやこれは両方とも違っておるな
左様でございますか!?
ああ違っておるな、字というものは色々な読み方があるんだな・・・
こういうのは知ったかぶりをせんとな、書いてあるのをただ正直に読めばいいんじゃよ?
へ~そうするってとどうなるんですか?
うむ、これはな一番上に一という字が書いてあるじゃろ?
その下に八という字が書いてあって十という字が書いてある・・・
そして下に材木の木という字が二つ並んでおるからこれは続けると・・
いちはちじゅうのもくもくだ
いちはちじゅうのもくもく!あっどうもすいません!
いちはちじゅうのも~くもくっ、いちはちじゅうのも~くもくっ、いちはちじゅうのも~くもく、いちはちじゅうのも~くもくって・・・
なんだいこんな煙たい名前じゃなかったよ?
そうだ!表歩いてるからいいかげんになるんだ二度と会わねえと思うから・・・
うちん中で聞いてみよ!たばこ屋さんだ、ここで聞いてみよ!
ちょいとすいません!
いらっしゃい、なんのたばこ?
いえたばこじゃないんです!ちょいと聞いてもらいたいんです!
今向こうで聞いたら、「たいらばやし、ひらりん、いちはちじゅうのもくもく」って聞いたんですがこれ合ってますか?
おう、それは大変だ見てあげましょう・・・
これですか?これがな~に?
たいらばやしにひらりんに?いちはちじゅうのもくもく!?
ありゃまあ~やりやがったねこりゃあ、お前さん字が読めないのかい?
そうかそうか、読めないとなればまた教え方が変わってきますからな?
字というのはな、もう少し色気をつけなさい
字に色気ですか?
ああそうだ、いちと読まずにひとつ、はちと言わずにやっつ。
じゅうと言わずにとう、下に木の字が二つ並んでるから、これは続けると・・・
ひとつとやっつでとっきっきだ
ひとつとやっつでとっきっき!?はあどうもすいません・・・
ひとつとやっつでとっきっき!って・・・
だんだん違ってきちゃった・・弱っちゃったな、名前四つになっちゃったしな・・・
もう聞くのもいやだし・・・
そうだ!じゃあこうやって書いてあるのを見せてみんなにねえ、今教わったの続けて言おう!
そうすれば誰か気づいてなんか言ってだろう!
たい~らばやしかひらりんか、いちはちじゅうのも~くもく、ひとつとやっつでとっきっき!
たい~らばやしかひらりんか、いちはちじゅうのも~くもく、ひとつとやっつでとっきっき!
たい~らばやしかひらりんか、いちはちじゅうのも~くもく、ひとつとやっつでとっきっき!
あら?人が大勢ついてきた勘弁してくれぇ、わぁ~ん!!
おお源さん源さん向こうから来てるのあれ伊勢屋の小僧じゃねえか?
なんだい随分大きな声で怒鳴ってるなあ・・・
おい!定吉じゃないか!どうした!?
たい~らばやしかひらりんか、いちはちじゅうのも~くもく、ひとつとやっつでとっきっき~~!!!
ど、どうしたんだよ・・
何?おつかいに行って?行き先が分かんなくちゃった?
しょうがねぇなあ・・・道間違えたのか?
いえ、名を間違えてるんです・・・
平林を聞くなら「立川談志」
寿限無同様、前座噺である「平林」。サゲが複数種類あり、落語家によってサゲのバリエーションが増えていく。単純な前座噺で終わらせないのが立川談志。
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その他サゲの種類
- 定吉の知り合いが「ヒラバヤシ」だと正しい読み方を教えるが、定吉が間違っていると否定するもの。
- 衆人に「気違いじゃないか?」と言われ、「いえ、名違いです」
- 衆人に「新しい祭囃子か?」と言われ、「いえ、ヒラバヤシです」
- 平林本人が現れ、名乗った上で誰を探しているのかと聞かれて、定吉は「惜しい。似ているけど違う人」
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