一言で「不動坊」を解説すると…
美人の妻を手に入れた男が疎ましくて、幽霊に扮して脅かす噺。
主な登場人物
お滝という美人な妻を手に入れた男、利吉です!
利吉の話を聞いて妬ましく、仕返しをしたくなった男、徳さんです!
以前、お滝にふられた講釈師、軽田道斎です!
不動坊の詳細なあらすじ
やもめ暮らしをしている利吉のもとに、長屋の家主が訪ねてきて、嫁をもらわないかという話を持ちかける。嫁候補は、お滝さんという女性で、彼女の夫、不動坊火焔が地方巡業先でチフスにかかって亡くなり、借金が35円残っているという。
お滝さんは、この借金を結納代わりに払ってくれる人と再婚したいと願っており、利吉はお滝さんを以前から気に入っていたため、喜んでその話を受け入れる。
利吉は今晩からお滝さんが来ることになり、風呂に行って身を清める。そこで、隣に住む徳さんの悪口を言っていると、偶然徳さんが聞いていて怒り出す。
利吉はなんとかその場を収めて風呂を出るが、徳さんはおさまらない。
徳さんは、やもめ仲間の裕さんと新さんを集め、利吉に仕返しをしようと計画する。彼らは、利吉とお滝さんを驚かせるため、不動坊火焔の幽霊を出して二人を脅し、坊主にしてやろうという考えを思いつく。
幽霊役には、以前お滝さんに振られた講釈師の軽田胴斉を引き入れ、夜中に利吉の家に忍び込む。
幽霊を出すためのアルコールを用意するが、裕さんが「アルコール」を「アンコロ」と聞き間違え、アンコを持ってきたため、幽霊火が出ずに内輪もめが始まる。
その間、胴斉はふんどしで宙吊りになり、痛みでわめき始める。仕方なく太鼓を打って幽霊を降ろすことにする。
胴斉は幽霊として「恨めしぃ~、不動坊火焔や、わしが死んですぐによそへ嫁入りとはあんまり胴欲な。それが恨めしゅうて浮かばれん。二人とも髪を下ろして坊主になれ~」と迫るが、利吉は冷静に「35円の借金を誰が払ったと思ってるんだ」と反論する。
これには幽霊の胴斉も言い返せず、最終的には金で手を打とうということになり、一人前5円、四人で20円という条件で幽霊たちは納得する。
金を受け取った胴斉は「二人で仲良く」と言って幽霊稼人らしい言葉を残すが、屋根の上にいた仲間たちが急いで幽霊を引き上げようとするも、ふんどしが引っかかり、全員が地面や家の中に落ちてしまう。
驚いた利吉が「なんじゃお前は」と尋ねると、胴斉は「隣裏に住んでおります軽田胴斉という講釈師」と答える。
利吉「講釈師が幽霊のまねして金を取るのか」
胴斉「へぇ、幽霊稼人(遊芸稼人)です」
不動坊を聞きたいなら
不動坊を聞きたいなら「柳家小さん」
江戸には三代目柳家小さんが移入させたと言われる落語「不動坊」。その後、五代目小さんが受け継ぎ、今の「不動坊」を形作った。
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