夢の酒を聞くなら「桂文楽」
桂文楽の「夢の酒」は、幻想的な物語と深い人情味が心に残る一席です。夢の話でありながら、お花の嫉妬心が笑いを誘うユニークな展開が魅力です。文楽独特の語り口で、夢と現実が交錯する世界を鮮やかに描き出します。
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あらやだぁ・・・またおやすみになってるわぁ・・・

あなた?起きてくださいましな・・・

お風邪をお引きになりますわよ?

あなた!

ん・・・んぁ、なんだお花じゃないか・・・

なんだお前いきなり起こしてぇ!せっかくいい気持ちで寝てたのに〜!

出し抜けに起こすやつがあるかよ!

えへへへ・・・お前これからって時だったってのに・・・

なんです?これからって時って?

まぁ〜あなた何か面白い夢ご覧になったんでしょう?

ねぇ!どんな夢ご覧になったんです?

まあお前に話してもいいけど、お前・・・怒るからな・・・

あらやだ、夢の話を聞いて怒る人はいませんよ・・・

ねぇ?お話してくださいな!いいじゃありませんか!

ケチ!

なんだいケチってのは・・・まぁまぁそれじゃあ話すけどもさ・・・

妙にはっきりした夢だったよぉ・・・

向島の方へ用足しに出かけた、その途中でポツリポツリ・・・

傘は持ってないんだよ、ひょいっと見るとね、軒の深いおつなこしらえの家がありました・・・

あたしがそこへ飛び込む!入れ違いってやつだねぇ・・・

盆を返したようにざぁーー!!っと降ってくる・・・これはしょうがない、雨宿りだよ

そしたらそこの家の女中さんが出てきてね?

「あの〜そちらにいらっしゃる方、そこではしぶきがかかりますから、どうぞこちらへお入りになってください、ご遠慮なさらずに・・・」

「あら?あらあら、大黒屋の若旦那じゃございませんの?」

ってその女中さんがあたしのことを知ってるんだよぉ!

・・・

・・・へぇー、あなたのことご存知だったんですか・・・

そうなんだよ!

「ご親族さ〜ん!あなたが始終噂をしている大黒屋の若旦那がお見えになりましたよーーー!!」

「あらぁそうかい・・・」

出てきた女の人を見て驚いた!いい女でねぇ!

あたしはねぇ!あんなに美しい人を見たことない!

本当の美人とはああいう人のことを言うんだねぇ!

「まぁ~大黒屋の若旦那じゃございませんの?どういう風の吹き回しでお越しになったんでございましょう・・・」

「そこではしぶきがかかってしまいますので、どうぞ中へご遠慮なさらず・・・」

「タケや~ん・・・早く若旦那のお手を」

って女中さんに手を取られてね?あたしはうちへ上がったんだよ!

まぁずうずうしいぃぃ・・・

はじめてのうちへ上がりこんだんですか?

しょうがないだろ?あっちからもこっちからも手を引っ張られましたよ?

酒、魚が運ばれてきましてね?ご親族がお酌をしてくれ

あなた・・・まさかそのお盃受けたわけじゃないでしょうね?

断りましたよぉ~!

あいすいませんが、あたくしの親父は三度の飯より酒が大好き、ところがあたしは下戸でございまして、お酒のところはご勘弁を・・・

「まあそんなことおっしゃらないで、よろしいじゃございませんの?」

「一杯召し上がってってくださいましな・・・」

ってそのご親族が勧め上手でねぇ!下戸のあたしがだよぉ?

あれでそうだねぇ・・・お銚子五、六本は飲んだかな?

あなたそんなに飲んだんでございますか!?

それからどうしたんです?

いやぁ情けないが、頭が痛くなってねぇ・・・

いやぁご親族すまないが頭が痛くなりました・・・

「まああたくしが無理にお勧めしたから、どうしましょう・・・」

「タケや~ん、何をぼ~っとしてるんだい?早く離れへ床をしいておくれ?」

離れときたよ離れとぉ!あっはっは!

いいかい?お前!離れというのはねぇ!

離れているんだよぉ!

四畳半ですよ!女中さんが床をとってくれてねぇ!

あたしがごろっと横になって、しばらくして・・・

ご親族だいぶ楽になりました・・・

「まあ本当におよろしいんですか?でも若旦那・・・」

「不思議なことがあるものですねぇ・・・」

「若旦那の御加減がよくなったら、今度はあたしの具合が悪くなりました・・・」

おっと!それはいけません!どうぞここへ横になって!

「い~え若旦那はそのままで結構でございます・・・」

「あたしが若旦那のお布団の中へ・・・」

「一緒に入れて・・・いただければ・・・」

えへへへ!帯だよ帯!

帯をキュルキュル~っと解くってと燃え立つようなひじり綿の長襦袢一枚になって

布団の中へすぅ~!っと入ってきたと思いなよ!

ぐすっ・・・

悔しいぃぃ~!

あなたという方はそういう方なんでございます!

はじめてのうちへ上がりこんで、見ず知らずの女の人と・・・悔しいぃぃぃ!

大きな声を出すんじゃないよ?おとっつあんに聞こえちまうじゃないか!
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何をしてるんです?お前たちは・・・

大きな声を出すんじゃありません!店へ聞こえちまう!

お花?お前も少しはたしなみなさい・・・

・・・ぐすっ・・・おとっつあんあいすいません・・・

でもあまりに若旦那が不行跡過ぎますんで・・・

不行跡?何があったんだい?おとっつあんに話をしてごらん!

・・・ぐすっ・・・あの若旦那が、向島へ・・・ぐすっ・・・

・・・ぐすっ・・・となりましたので・・・

ぐす・・・ということで・・・ぐすっ・・・

あのねぇ・・・おまえ泣くかしゃべるかどっちかにしてもらわないと分からないよ?

倅が?向島へ用があって?

うん、雨が降って来たから雨宿りをしてたら女中さんが出てきて、知ってた!?

あぁあぁそりゃお得意様ですよぉ!何?ご親族が?上がった?

はじめてのお宅へ?

うん、酌をしてもらって?

酒を飲んだ!?

こ~ゆ~やつなんだこいつは!

え?頭が痛くなった!?当たり前ですよ、普段飲み慣れないものを飲むからだ!

離れへ床をしいてご親族と一緒に!?

寝たぁぁ!?

呆れたやつだお前は!

何がおかしい・・・何がおかしいんだよ!おい!

女房が泣いて、親が怒って、お前が笑ってちゃ話がまとまらないだろう!?

何がおかしいんだよ!

いやいやそうじゃないんだよ、いいから聞いておくれよ!

お花!おまえいい加減にしないか、おとっつあん本気にしちまうだろぉ?

いやそうじゃないんですよ、うたたねをしてたら見た夢の話なんですよぉ!

ゆ、夢?

お花・・・倅は夢だって言ってるよ?

・・・ぐすっ・・・はい・・・夢でございます・・・

夢でございますって、おまえ夢の話にまで腹立ててもしょうがないだろ?

いいえ・・・若旦那はそういうことがあればさぞ面白かろうと、いつもそんなことばかり考えていらっしゃるんから!

そういうふしだらな夢を見るんでございます!

おまえの言う通りだ・・・

ばかぁぁ・・・どうしてお前はそう手数のかかる夢を見るんだ!

店へ行ってなさい!もう・・・

お花・・・ありがとう・・・店のため、倅のことを思えばこそだ、な?

夢の話にまで腹を立てる、ありがたいことさな・・・

だけど所詮は夢だ、勘弁してやっとくれ?

ぐす・・・おとっつあんお願いがございます・・・

その向島のお宅へ伺って、そのご婦人に・・・ぐすっ・・・

どうしてうちの倅にそういうふしだらなことをするんだ!ってお小言を言っていただきたいんでございます!

しっかりしなさいよおまえ・・・

倅が見た夢にどうしておとっつあんが行くことができる?

おとっつあんご存知ないんですか?

淡島様の上の句を詠んで「誰それの見た夢の中へ誘いくだされば、きっと下の句も申し上げます」と言えば、連れてっていただける・・・

淡島様?あぁ!若い時分に聞いたことがある!

じゃあこうしましょう!今夜寝るときに淡島様にお願いをして・・・

その・・・うん向島のお宅へ・・・え?今?

ったく・・・まぁ老いては子に従えか・・・

南無淡島大明神様・・・

どうぞ倅の夢のところへお導きください・・・

zzz・・・

ご親族さ~ん!大黒屋の大旦那がお見えになりましたぁーーー!

まぁ~旦那じゃございませんの?

・・・お宅はこちらでございましたかぁ!

さきほどは倅が邪魔を致しまして・・・

いいえ~!もうじき雨も上がると申し上げたんですか、若旦那お帰りになってしまって・・・

まぁ~・・・大旦那?

よくいらっしゃいました・・・どうぞお上がりくださいな?

そうですかぁ?じゃ、じゃあちょっとだけ・・・

さぁ!こちらでございます!

あぁどうも恐れ入ります・・・

まぁ~結構なお住まいで綺麗に掃除が行き届いて・・・

あらまたお庭が拝見できる・・・風流だなぁ・・・

いやぁ~結構なお住まいで・・・

まぁ~お世辞がお上手で・・・

あ、はい、そこ置いとい・・・

だめぇよこの子はぁ・・・なんだってお茶なんぞ持ってくるの?

さっき若旦那がおっしゃってたでしょう?

大旦那は三度の飯よりもお酒がお好きでいらっしゃるんですから・・・

お酒を持ってらっしゃい・・・

あぁいやいや今日はそういうことでお邪魔したんじゃありませんから・・・

よろしいじゃございませんの・・・

あたしのようなおばあちゃんのお酌じゃ美味しくないでしょうけど・・・

一杯召し上がってってくださいましな・・・

そうですかぁ?あっはっは・・・じゃあ一杯だけ・・・

そんなことおっしゃらずにたくさん召し上がってってくださいな・・・

はい、な~に?どうしたの?

あらそうなのぉ、しょうがないわねぇ・・・すぐに火をおこして・・・

大旦那あいすいません・・・

うちの子ったら気が利かないんですよ、火をおとしちまったそうで、大旦那はお燗の方がよろしいでしょ?

ええもう!酒は燗!決めとります!

そりゃあね、若い時分には冷もいただきました・・・

口当たりがね、ついやり過ぎちまうんですよ、しくじりましてね?もう酒は燗!

大丈夫ですよぉ!待ちますから!

昔は気が短かったんですがねぇ・・・

もうすっかり歳をとって気が長くなりました・・・

大丈夫待ちますよ・・・

・・・

お燗はまだですかぁ?

まぁ恐れ入ります・・・

どうしたの?まだなの?しょうがないわねぇ・・・

大旦那?こうなさってはいかがでしょう?待ってる間に冷で一杯・・・

いやいや冷はいけませんよぉ!もうね、酒は燗!決めてますからね!

大丈夫ですよぉ!待ちますから!気が長くなりましてね?

お燗はまだですか?

あいすいません・・・どうしたの?まだなの?

大旦那?冷で一杯・・・

いやいや冷はいけません・・・冷は・・・

おとっつあん?おとっつあん!

・・・ごほっ・・・ごほっ・・・

お花?

不思議なことがあるもんだ・・・

向島のお宅は知れました?

知れたも何も、おいお花・・・

惜しいことをしたよぉ・・・

これからお小言をおっしゃるときにお起こししましたか?

いやそうじゃあないんだよ・・・

あぁ~あ・・・冷でもよかった・・・
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夢の酒を聞いて
ちなみにですが、夢占いによると「見知らぬ異性(女性)」と仲良くしている夢は、自分が恋愛に対して理想を抱いていることを意味しています。
すでにパートナーがいる場合は、パートナーに対する何か不満足な部分があったり、「こうして欲しい」というような願望の気持ちの表れであることを意味しています。
つまり【夢の酒】の中では、所詮夢の話と言いつつも、実は現実的にも若旦那とお花の中は意外と怪しいことになるのかもしれませんね。
そういう意味で、お花が悔しがるのは正解というか、勘がいいですね。
そして大旦那(おとっつあん)は燗がいいんですね。
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