漫画『あかね噺』は、古典落語を題材にしながら、キャラクターたちが繰り広げる物語が描かれた作品です。この記事では、作品内に登場する落語の演目を巻ごとにまとめ、簡単な解説を付けて紹介します。
各キャラクターと演じる演目の個性がマッチする所が魅力の漫画ですよね!
※漫画のネタバレを含みますので、要注意してください。
あかね噺に登場する落語一覧
- 【第1巻】
・大工調べ(阿良川志ん太)
・芝浜(阿良川志ん太)
・まんじゅう怖い(朱音)
・稽古屋(阿良川魁生)
・子ほめ(朱音) - 【第2巻】
・三方一両損(阿良川亨二)
・転失気(朱音)
・今戸の狐(阿良川こぐま) - 【第3巻】
・転失気アレンジ:BM(練馬家からし)
・芝浜(高良木ひかる)
・寿限無(朱音) - 【第5巻】
・山号寺号(朱音)
・お茶汲み(蘭彩歌うらら)
・大工調べ(柏家緑郎) - 【第6巻】
・真景累ヶ淵~豊志賀の死(阿良川魁) - 【第7巻】
・平林(朱音)
・搗屋無間(阿良川ひかる)
・替わり目(朱音)
・強情灸(阿良川ぜんまい) - 【第8巻】
・金明竹(阿良川嘉一)
・花見のかたき討ち(阿良川ひかる)
・替わり目(朱音) - 【第9巻】
・ガマの油(朱音)
・粗忽の釘(阿良川ぐりこ)
・つる(朱音) - 【第10巻】
・看板の一(今昔亭ちょう朝)
・擬宝珠(阿良川こぐま)
・狸札(今昔亭朝がお) - 【第11巻】
・反対俥(今昔亭朝がお)
・狸賽(朱音) - 【第12巻】
・黄金の大黒(阿良川泰全) - 【第13巻】
・たちきり(阿良川マイケル) - 【第14巻】
・初天神(朱音)
・死神(阿良川志ぐま)
キャラクター画像出典は以下サイトより。
少年ジャンプ
キャラクター画像出典
少年ジャンプ 『あかね噺』原作:末永裕樹 作画:馬上鷹将
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第1巻
大工調べ
主人公・朱音の父、阿良川志ん太が第1巻の最初で演じました
大工調べは、家賃滞納を巡る騒動が奉行所に持ち込まれ、大工の政五郎が啖呵を切り、機転を利かせて解決する噺です。
志ん太が真打昇進試験を控える中、らくご喫茶で演じた演目です。
芝浜
同じく志ん太が真打昇進試験で演じた落語です
芝浜は、酒好きの魚屋が拾った財布を夢だと信じ込まされ、反省して真面目に働き成功するが、実はそれが夢ではなく女房の計らいだったことに気づく噺です。
正月によく演じられる人情噺で、演者の実力によって一にも百にもなる演目。
まんじゅう怖い
主人公の朱音が父・志ん太の師匠である志ぐまから稽古をつけてもらう演目。
まんじゅう怖いは、怖いものがまんじゅうだと強がる男が、実はまんじゅう好きで皆を騙し、最後には濃いお茶が怖いと言い逃れる噺です。
志ぐまから稽古をつけてもらい、朱音がはじめて人前で披露した演目です。
稽古屋
入門二年で二つ目となった天才・阿良川魁生による演目。
稽古屋は、女子にもてたくて稽古に行ったが、見当違いなことばかりしてしまう喜六の騒動噺。魁生の本質「色気」が輝く演目です。
子ほめ
主人公の朱音が兄弟子・阿良川亨二の前で人生2度目の高座にかけた演目。
子ほめは、ご隠居から歳を若く言う褒め方を教わり、しまいに1歳の赤ちゃんを褒めた噺です。
第2巻
三方一両損
朱音の兄弟子、亨二により演じられた誠実・真面目が活きる演目。
三方一両損は、三両の入った財布を落とし、拾った男と喧嘩し、最終的に奉行所で丸く収まる噺です。朱音に兄弟子としての威厳を見せた高座。
転失気
兄弟子・亨二の二人会の前座として高座に立った際に朱音が演じた演目。
転失気は、屁のことを「転失気」というを知らなかった和尚が恥をかく噺です。朱音が大学に行かず、落語家になることに反対する先生の前で堂々と実力を見せた一席。
今戸の狐
知識を噺に活かす落語で「寺子屋」と呼ばれる兄弟子・こぐまによる演目。
今戸の狐は、内職の狐と賭博の狐の勘違いから、落語家がチンピラに絡まれる噺です。現代でもほとんど演じられることのないレアな演目。
第3巻
BM(転失気のアレンジ)
学生落語選手権「可楽杯」で大学生ver転失気を演じました
学生落語選手権では、古典落語ではなく改作落語で時代に合ったものを魅せる姿勢を示しました。
芝浜
人気声優として同じく学生落語選手権に出場し、劇場型の芝浜を演じました
寿限無
朱音が学生落語選手権で演じた師匠志ぐまから指定された演目。
寿限無は、子どもに長~い名前を付けてしまったがために苦労する噺。誰もが知っている噺だけあって、この演目で観客を魅了するのは難しい。
朱音の師匠志ぐまは、落語入門前の朱音にあえて難しい寿限無1本で学生落語選手権を勝ち抜くよう約束させた。
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第5巻
山号寺号
前座修行ではじめて開口一番を任された朱音がかけた演目。
山号寺号(例えば、金龍山浅草寺など寺には○山○寺という名前がある)の話を巡り、若旦那と幇間が機知で遊び合う噺です。
朱音は新人潰しの今昔亭りゑんへの「返し」として、山号寺号のくだりを改変し、高座にかけた。
お茶汲み
廓噺の名人として大看板を背負う蘭彩歌うららによる演目。
お茶汲みは、吉原で花魁にされた作り話を逆手に取って熊さんが仕返しする噺。その妖艶さと表現力から「麻薬」とも言われる落語を披露する。
大工調べ
音楽のように落語を奏でる「麒麟児」柏家禄朗による演目。
第1巻冒頭で志ん太が演じたものと同じだが、禄朗の個性が生かされた音楽の描写が漫画の中で表現されている。
第六巻
真景累ヶ淵~豊志賀の死
天才・魁生による怪談の怪演、良くも悪くも高座を一気に凍り付かせた演目。
真景累ヶ淵~豊志賀の死は、嫉妬に狂った師匠・豊志賀の恨みが、新吉とお久に災いをもたらす噺。
魁生の後に演じた落語家は、場が恐怖で凍り付いてしまい笑いも起きることがなかった。
第7巻
平林
朱音が荒川一門の前座練成会予選でかけた演目。
平林は、平林という人の所へお使いを頼まれた定吉が、平林の漢字が読めず苦戦する噺。
椿家八正師匠から稽古をつけてもらい、前座噺である平林を持ちネタにした。
搗屋無間
蘭彩歌うららに稽古をつけてもらい、自身の魅せる「華」を広げた演目。
搗屋無間は、吉原の花魁に恋した搗米屋の徳兵衛が、思い詰めた末に不思議な方法で大金を得る噺。
阿良川一門の前座練成会の予選で披露した。
替わり目
朱音が兄弟子・阿良川まいけるから練成会選考用に伝授された演目。
替わり目は、酔っぱらいが女房とケンカし、うどん屋を巻き込んで騒ぎ、最後に言葉遊びでうどん屋に逃げられる噺です。
朱音の父・志ん太が同じく阿良川一門の前座練成会の選考の際にかけた演目。
強情灸
前座練成会で阿良川ぜんまいが演じた演目。
強情灸は、友達から熱い灸を据えに行ったという話を聞いて、強情に張り合った噺。
第8巻
金明竹
魁生に次ぐ、阿良川一生の2番弟子、元営業マン阿良川嘉一による演目。
金明竹は、与太郎が言葉の行き違いで次々と失敗し、商人との早口のやり取りでさらに混乱を招く噺。
前座練成会では、場の観客を第一に喜ばせることに生きがいを持ち、演じた。
花見の仇討ち
前座練成会で、自身の声優である特徴を活かした「伝わり易さ」を重視した落語を披露。
花見の仇討ちは、花見の余興で仇討ち劇を計画するも、六部役(止め役)が酔い潰れたせいで通りかかった侍が本気になり、騒動になる噺。
登場人物が多く、演じ分けがうまくできないと話が分からなくなる難しい噺。
替わり目
朱音が兄弟子・まいけるとの稽古を経て、前座練成会選考でかけた演目。
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第9巻
ガマの油
朱音が志ぐま一門の祭で焼きそば売りの口上でオマージュした演目。
ガマの油売りが実演に失敗し、酔いのせいで見世物が混乱する噺。
粗忽の釘
兄弟子・ぐりこが、志ぐま一門の祭で披露した演目。
粗忽の釘は、粗忽な亭主が引越し先での失敗から隣家の仏壇に釘を打ち込んでしまう噺。
朱音の急成長を目の当たりにしたぐりこは、ある一大決心をする。
つる
朱音が練成会の後で高座にかけた演目。
つるは、つるの名前の由来を教えてもらい、人にも教えてやろうとしたら失敗した噺。
朱音の開口一番の後はやりやすいという評判も。
第10巻
看板のピン
柏家の大看板で博打打ち、今昔亭ちょう朝による演目。
看板のピンは、老親分の博打の技に感心した若者が真似をするも、失敗してしまう噺。
ちょう朝がその日かける演目は、サイコロによる博打によって決定される。
擬宝珠
阿良川一門の次世代を担う二つ目の四人会で、こぐまが演じた演目。
擬宝珠は、若旦那が患った理由を聞くと「擬宝珠を舐めたい」とのことで、若旦那に擬宝珠を舐めさせる噺。
現代でも擬宝珠をかける落語家は柳家喬太郎くらい。
狸札
朱音がらくご喫茶で子ども向けに企画した「らくご動物園」で披露した演目。
狸札は、助けた子狸に恩返しとしてお札に化けてもらい、勘定を支払うが、狸が縮み屋の財布からさらにお土産を持ち帰る噺。
第11巻
反対俥
今昔亭ちょう朝の弟子で前座のリーダー朝がおによる勢いのある演目。
反対俥は、のんびりした老車夫と猛スピードの若い車夫に振り回され、東京を縦断してしまう噺。
リーゼントと暴走バイクの印象がある朝がおにぴったりの演目。
狸賽
朝がおの二つ目昇進の開口一番として選ばれた朱音が披露した演目。
狸賽は、助けた子狸がサイコロに化けて博打で連勝するが、最後に子狸が神様に化けて勝負を台無しにする噺。
狸賽は、今昔亭ちょう朝から稽古をつけてもらった。
第12巻
黄金の大黒
阿良川一門の四天王、「怒髪天」阿良川泰全による豪快な一席。
黄金の大黒は、長屋の住民たちが大家の祝いの宴に羽織を共有して参加し、騒ぎすぎた結果、大黒様が出て行くほどの大騒動になる噺。
泰全の落語は、強面の顔が緊張感を出し、その緊張感が切れることによって爆発するギャップによって笑いが引き起こる。
第13巻
たちきり
朱音の兄弟子・阿良川まいけるによる真打昇進試験での一席。
たちきりは、芸者に入れ込んだ若旦那が蔵入りの罰を受け、恋人を失った後に悲しみと後悔に包まれる噺。
普段おちゃらけているキャラクターからは想像のできない精巧さが際立つ描写が表現されている。
第14巻
初天神
師匠・志ぐま独演会の開口一番として朱音が披露した前座噺。
初天神は、天満宮のお参りで、買わないと言ったのに子供のねだりに負けて色々買ってしまう噺。
あかねが「阿良川一門らしさを出す」と宣言し、志ぐまの前座としてかけた噺。
死神
独演会で十八番として志ぐまが披露した怪談噺。
死神は、自殺しようとしたら死神が現れ、医者になって金を稼げと言われる噺。
志ぐまは「引きの落語」で極限までに無駄を省き、シンプルさを追求したからこそ出る話芸を得意とする。
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まとめ
あかね噺に出てきた落語一覧をまとめました。落語の演目は、少なくとも500種類以上はあるため、まだまだ漫画に登場する演目のネタが尽きることはなさそうです。
ここからさらにキャラクターが増えていくのか、はたまた個性あふれる現在のキャラクターが、進化していきながら新たな演目に挑戦していくのか・・・
まだまだ「あかね噺」から目が離せません。
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